商品紹介-高山植物専用鉢の機能

狭間寸胴鉢の機能研究結果

≪試験条件≫

  • ・大気温度は直射日光下の放射温度
  • ・鉢内温度の測定位置は鉢底から1cm、鉢壁から1cmの所。
  • ・用土は鹿沼土、赤玉土、バーミュキュライトを等量混合。
  • ・水やりは前日18時。

狭間寸胴鉢の総合的な特性(駄温鉢との比較)

狭間寸胴鉢は鉢壁を厚くすることにより外気温度を遮断し、滞水層に含まれた水分の気化熱により鉢内温度を下げ、大きな鉢底と高台の狭間で通気性を高め、、高山植物の夏越しを容易にする。

総合的な特性を駄温鉢と比較する。

≪結果≫
直射日光下での試験なので大気温度(太陽放射温度)は40度を超える。駄温鉢は12時をピークに冷却効果が薄れ、17時には大気温度とほぼ同じとなる。狭間寸胴鉢は気温が上がっても鉢内温度はそれほど上昇せず、14時には15℃の冷却効果があった。

≪結果≫
厚さ2~3mmの駄温鉢との比較は上図の通りであるが、狭間寸胴鉢の4mmと10mmの比較を行なった。14時まではほぼ変わらなかったが15時から差が出始めた。鉢壁厚さ(含水量)が効果時間の差となったと思われる。

●断熱性(鉢壁厚さの影響)

≪結果≫
焼締めの駄温鉢はほとんど水は浸み込まないが、素焼鉢は12%ほどの含水率がある。ただ薄肉のため含水量は少なく、炎天下では5時間ほどで冷却能力はなくなる。狭間寸胴鉢は滞水層の効果で含水率は15%以上と高く、かつ保水性が良いので急激な含水率の低下は起こらない。この2つの機能により狭間寸胴鉢は長時間鉢内温度を低く抑えることができる。

●冷却性(含水率)

受皿に水を張り、素焼鉢、狭間寸胴鉢それぞれに水を吸わせ水揚げ高さを調査した。

≪結果≫
水揚げは毛細管による吸水現象で一定の水を吸うとそれ以降は官の抵抗により吸水が進みにくくなるが気温の上昇はそれを助ける。特殊構造の狭間寸胴鉢は、水揚げ量が素焼鉢の2倍ほどあるので冷却能力も同程度優れると言える。

●冷却性(水揚げ量)

通気性(鉢底の形状)

狭間寸胴鉢は通気性を良くするため鉢底に鉢底ネットを使用している。ここでは空気の流れを悪くするため鉢底にプラ板(CD盤)をセットし、通気性と冷却効果の関連を調べる。

≪結果≫
全面開放状態の鉢底ネットと一般の鉢と同程度の鉢底穴では冷却効果はほとんど変わらなかった。

狭間二重鉢の特性

≪試験条件≫
・8月の炎天下、直射日光を浴びる環境下での実験
・前日18時に水やり以降2日間給水なし

≪結果≫
・1日目は寸胴鉢、二重鉢とも冷却効果が7℃~11℃で変らない。
・2日目は寸胴鉢の含水が乏しくなり徐々に冷却効果が薄れる。
・一方二重鉢は貯水槽の効果で2日目も冷却性能を維持する。

実機耐寒実験

狭間寸胴鉢は鉢に含まれた水の気化熱で鉢を冷やすため内部まで多孔質になっている。冬季の極寒条件で水分を内包した鉢が凍結崩壊するかどうかの調査を行なう。

  • ・試験地:長野県北軽井沢
  • ・標高:1150m
  • ・試験期間:2014年11月3日~2015年4月25日
  • ・気象条件:2015年の最低気温は-14℃(2月)
  • ・設置場所:
    • (1)地表面(雪に埋もれる状態)
    • (2)地面から1m上(雪に埋もれない状態)

≪試験結果≫

試験片 ①地表面 地上1m
狭間寸胴鉢 異常なし 異常なし
焼締め鉢 異常なし 異常なし
素焼鉢 異常なし 異常なし
駄温鉢 異常なし 異常なし
山草鉢 異常なし 異常なし


試験片


地表面での試験


1m 高さでの試験

サーマルショック試験

熱衝撃を繰り返し与え、耐性を調査する。

  • ・装置:家庭用冷凍冷蔵庫
  • ・試験温度:-19℃
  • ・試験条件:浸水(10分)⇒放置(常温・3時間)⇒冷凍(-19℃・18時間)⇒放置(常温・3時間)
  • ・繰返し数:60回(約2ヶ月)
  • ・試験片:
    • (1)狭間寸胴鉢(φ52×φ70×30)
    • (2)板状片(t10×t18×150)

≪試験結果≫
(1)(2)とも異常なし。
なお一部の試験片は30回目から放置時間3時間を10分に変更し自然界ではありえないきびしい条件で試験を行なったが異常はなかった。